アノミニティ・12の伝統

アルコホーリクス・アノニマスはなぜ「アノニマス(無名にとどまる)なのか


無名であることはAAの霊的な基盤となっている。一人一人が無名にとどまることによって、AAの集まりを個人支配からまぬがれさせ、AAの回復・一体性・サービスの原理をあくまでも優先させることを可能にする。AAは同等の立場の人間の集まりである。わたしたちは、AAの回復のプログラムを多くの人に知ってもらおうと、力を尽くして努めているが、ここに参加する個人を知ってもらおうとはしない。したがって、新聞、ラジオ、テレビ、映画など、マスコミや公の場でAAメンバー個人の名前を出すことはない。このようにして、メンバーのプライバシーは守られ、更には、個人として認められたいというエゴに歯止めがかけられ、全員が平等であることが明確にされる。


《グループでのアノミニティ》

AAに足を運んできた人の個人のプライバシーは確実に守られるよう、わたしたちは、お互いに最大の努力を払っている。お互いのプライバシーを守る約束も、アノミニティの意味の一つであり、AAミーティングで一人一人が自分の飲酒のトラブルにまつわる話ができるのも、そこで話された個人の秘密をわたしたちは明かさないからである。わたしたちは、そこで分かち合われた回復の話だけを自分のものにしている。グループの中では、自分の姓名を名乗ることも、連絡先を教えることも、一切明かさないことも、その人の自由である。どこまで自分のプライバシーを明かすかは自分で決められる。


《公の場でのアノミニティ》

AAメンバーとしてマスコミに出る場合、顔を見せることと姓名を名乗ることはしない。 AA以外の機関が主催する公の会合でAAメンバーとして話をする際も、フルネームは出さない。いずれの場合も、AAを代弁するのではなく、一人のメンバーとして話をする。なお、AAメンバーであることを表明しない限りは、マスコミに出ても、公の場で自分の姓名や立場を明かしても、伝統に反するものではない。


AAワールド・サービス社の許可のもとに、『ミーティングハンドブック』より再録


AA 12の伝統


  1. 優先されなければならないのは、全体の福利である。個人の回復はAAの一体性にかかっている。

  2. 私たちのグループの目的のための最高の権威はただ一つ、グループの良心のなかに自分を現される、愛の神である。私たちのリーダーは奉仕を任されたしもべであって、支配はしない。

  3. AAのメンバーになるために必要なことはただ一つ、飲酒をやめたいという願いだけである。

  4. 各グループの主体性は、他のグループまたはAA全体に影響を及ぼす事柄を除いて、尊重されるべきである。

  5. 各グループの本来の目的はただ一つ、いま苦しんでいるアルコホーリクにメッセージを運ぶことである。

  6. AAグループはどのような関連施設や外部の事業にも、その活動を支持したり、資金を提供したり、AAの名前を貸したりすべきではない。金銭や財産、名声によって、私たちがAAの本来の目的から外れてしまわないようにするためである。

  7. すべてのAAグループは、外部からの寄付を辞退して、完全に自立すべきである。

  8. アルコホーリクス・アノニマスは、あくまでも職業化されずアマチュアでなければならない。ただ、サービスセンターのようなところでは、専従の職員を雇うことができる。

  9. AAそのものは決して組織化されるべきではない。だがグループやメンバーに対して直接責任を担うサービス機関や委員会を設けることはできる。

  10. アルコホーリクス・アノニマスは、外部の問題に意見を持たない。したがって、AAの名前は決して公の論争では引き合いに出されない。

  11. 私たちの広報活動は、宣伝よりもひきつける魅力に基づくものであり、活字、電波、映像の分野では、私たちはつねに個人名を伏せる必要がある。

  12. 無名であることは、私たちの伝統全体の霊的な基礎である。それは各個人よりも原理を優先すべきことを、つねに私たちに思い起こさせるものである。

(AAワールドサービス社の許可のもとに再録)